042-701-1871
対応時間
平日 10時~17時00分
定休日
土・日・祝日

公正証書遺言の効力/井上雅彦法律事務所

井上雅彦法律事務所 > 相続 > 公正証書遺言の効力

公正証書遺言の効力

遺言には自筆証書遺言や秘密証書遺言といった種類がありますが、特に相続トラブルを防ぐ手段として注目されるのが「公正証書遺言」です。

具体的に公正証書遺言にはどのような効力があるのか、疑問に思っている方も多いかもしれません。

今回は、公正証書遺言の基本的な仕組みと効力、遺留分の関係についてわかりやすく解説します。

公正証書遺言とは

公正証書遺言とは、公証人が本人の意思を確認したうえで作成する遺言です。

遺言者が公証役場で内容を口頭で伝え、それをもとに公証人が文書を作成し、証人2名の立会いで署名・押印を行います。

完成した遺言は原本が公証役場に保管されるため、紛失や改ざんの心配がありません。

自筆証書遺言のように本人が全文を書き残す方法では、記載漏れや方式違反によって無効となるリスクがあります。

しかし公正証書遺言は専門家である公証人が関与するため、形式的な不備で効力を失うことがほとんどないのが大きな特徴です。

公正証書遺言の効力

公正証書遺言の法的効力そのもの(遺言として有効かどうか)は、自筆証書遺言など他の方式と差はありません。

ただし、実務上の扱いや信頼性には大きな違いがあります。

法的効力の点では差はない

遺言の方式として定められている自筆証書遺言や秘密証書遺言、公正証書遺言は、いずれも遺言者の死亡によって効力を発揮します(民法第985条)。

「遺言の種類によって法律上の効力が強い・弱い」ということはありません。

つまり、効力の強さ自体は同じです。

公文書としての強い証明力を持っている

公正証書遺言は、公証人が本人の意思を確認して作成する「公文書」として扱われます。

そのため遺言の内容が真正なものとして推定され、後から筆跡鑑定などで真偽を争われる心配が少ないなど、強い証明力を持っているのが特徴です。

裁判などで相続人同士が争いになった場合でも、証拠能力の面で強力な遺言書といえます。

検認が不要でスムーズに執行できる

自筆証書遺言や秘密証書遺言は、相続開始後に家庭裁判所の「検認」手続を受ける必要があります。

検認は改ざんや偽造を防ぐための手続きですが、時間や手間がかかり、相続手続きの遅れにつながるケースも少なくありません。

一方で公正証書遺言は、すでに公証人によって適正性が担保されているため、検認を経ずにそのまま効力を発揮できます。

遺言執行の確実性が高い

公正証書遺言には、相続人や受遺者を拘束する法的効力があります。

遺言の内容に基づき、遺言執行者が指名されていれば、その者が権限を持って財産の名義変更や分配手続きを進めることが可能です。

特に不動産の相続登記や銀行口座の解約などでは、公正証書遺言の存在によって手続きがスムーズに進みやすく、遺言者の意思を確実に実現しやすくなっています。

公正証書遺言が無効になるケース

公正証書遺言は、法律で定められた方式に基づいて公証人が作成するため信頼性が高い方法ですが、それでも一定の条件を欠けば無効とされることがあります。

以下は代表的なケースです。

 

  • 遺言能力が欠けていた
  • 強迫・詐欺による遺言だった
  • 公序良俗に反する内容だった
  • 公証人が不適格だった
  • 口授の要件を欠いていた

 

それぞれ確認していきましょう。

遺言能力が欠けていた

遺言者が遺言時に判断能力を欠いていた場合は無効です。

民法上、遺言能力は満15歳以上が前提であり、認知症の進行や薬の影響で意思能力がなかったと判断されれば遺言は効力を持ちません。

強迫・詐欺による遺言だった

脅迫を受けたり、事実を偽って騙されたりした結果作成した遺言は、自由意思に基づいていないため無効とされます。

公序良俗に反する内容だった

社会秩序や公序良俗に反する遺言は、効力が否定される可能性があります。

証人が不適格だった

公正証書遺言には2名以上の証人が必要です。

ただし民法第974条により、以下に該当するひとは証人になれません(民法974条)。

 

  • 未成年者
  • 推定相続人や受遺者、その配偶者や直系血族
  • 公証人の配偶者や親族、書記・使用人など

 

不適格者が証人となった場合、方式の要件を欠き遺言が無効と判断される可能性があります。

口授の要件を欠いていた

公正証書遺言は、遺言者が自ら公証人に口頭で内容を伝える(口授)のが条件です。

本人が話せない場合でも、通訳や補助的手段を通じて意思を明確に伝える必要があります。

「他人が代わりに口授した」「書面を提出しただけで本人の口授確認が行われなかった」といった場合は、無効になる可能性があります。

公正証書遺言と遺留分の関係

遺留分(民法第1042条以下)とは、配偶者や子どもなど一定の相続人に保障された「最低限の取り分」です。

遺言者が「全財産を特定のひとに渡す」といった極端な遺言をしても、他の相続人の生活が著しく害されないようにするために設けられています。

公正証書遺言は形式的に強い効力を持ちますが、遺留分を超えて相続分を減らされた相続人がいる場合には、その効力は制限される可能性があります。

たとえば配偶者と子2人がいる家庭で、「全財産を長男に相続させる」と公正証書遺言に書いた場合を想定しましょう。

このとき、他の相続人(配偶者と二男)は遺留分を侵害されるため、請求を行えば遺言内容どおりには実行できません。

特定の相続人に多く渡したい場合でも、遺留分を侵害しない範囲にとどめるか、事前に他の相続人に説明・調整しておくことが重要です。

まとめ

公正証書遺言は、公証人の関与によって作成されるため、最も確実性の高い方式です。

作成する際には、単に意思を残すだけでなく、遺留分や相続人間のバランスにも配慮するのが重要です。

不安な点があれば、弁護士など専門家への相談も検討してください。

井上雅彦法律事務所が提供する基礎知識

  • 相続財産に借金があった際...

    相続財産に借金があることが判明し、借金があるなら相続したくないという場合は法的手続きを行うことで相続権を放棄できます。こ...

  • 相続法改正で変わった点と...

    国会によって、民法のうち相続分野について定められた部分が改正されました。この改正は、2019年1月から段階的に施行されて...

  • 遺産分割協議とは

    ■遺産分割協議とは遺産分割協議とは、相続財産を誰がどれだけ引き継ぐのかについての、相続人間での話し合いを指します。&nb...

  • 単純承認・相続放棄・限定...

    単純承認・相続放棄・限定承認は、どの範囲において相続をするのか、しないのかが異なります。 ■単純承認単純承認と...

  • 株やFXで多額の借金がで...

    株やFXは、多額の利益を受けることができる反面、多額の借金を負う可能性も非常に高く、ハイリスクハイリターンであるといえま...

  • 遺留分とは

    遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に保障された相続財産の最低限度の割合をいいます。自己の財産は、生前贈与や遺言によって...

  • 建物明け渡し・立ち退き

    借地借家法においては、家主が借家契約の更新を拒否したり、解約申し入れしたりするためには、家主が自らその建物を使用すること...

  • 家族信託のメリットとデメ...

    ■家族信託のメリット家族信託には、以下のようなメリットがあります。 まず、本人の状態に関係なく、財産の管理処分...

  • 相続財産の調査方法

    相続が発生すると、有効な遺言書がある場合を除き「遺産分割協議」を行います。遺産分割協議を円滑に行うため、また協議後のトラ...

  • 厚木市の債務整理は弁護士...

    借金が大幅に膨れ上がり、返済が困難な状況に陥った場合、債務整理によって返済額を免除又は減額することができます。債務整理は...

よく検索されるキーワード

代表弁護士紹介 「 一期一会 」

井上弁護士の写真
代表弁護士
井上雅彦(いのうえ まさひこ)
ご挨拶

ひとつひとつの出会いを大切にし、皆様が抱えている問題に対し、法律的見地から、よりよい解決ができるよう力を尽くしております。

お気軽にご相談下さい。

略歴

昭和41年生まれ

東京大学法学部 卒業

平成12年10月 神奈川県弁護士会登録

平成12年10月 井上雅彦法律事務所開設

平成25年 9月 東京地方税理士会登録

取扱い民事事件
  • 相続(遺産分割、遺留分減殺、遺言等)
  • 成年後見
  • 夫婦関係(離婚、親権、養育費、慰謝料、財産分与等)
  • 交通事故(物損、後遺症、死亡事故等)
  • 債務整理(任意整理、過払い請求、破産、個人再生等)
  • 不動産(家賃滞納、借地権等)
  • 医療過誤、契約書作成、契約書チェック
  • その他民事事件一般
沿革

平成12年10月 事務所を開設

平成17年6月 北口に事務所を移転

事務所概要

事務所紹介

当事務所は、小田急線相模大野駅徒歩1分の場所に位置しております。

ご来所される方は相模原市内を始め、町田市、小田急線沿線にお住まいの方など幅広い地域の方々から、ご相談、ご依頼をお受けしております。かつて依頼をお受けした方からのご紹介も多く、皆様より信頼をいただいております。最近の傾向としては、遺産分割、成年後見、交通事故、離婚等の事件の取扱いが増えております。

かかりつけのお医者様「ホームドクター」のように、法律のスペシャリスト「ホームローヤー」として皆様のお役に立つことができますようにと願っております 。

事務所名 井上雅彦法律事務所
代表者 弁護士 井上 雅彦
所在地 〒252-0303 神奈川県相模原市南区相模大野3-14-9 IL CIELO B・E号
アクセス 小田急線 相模大野駅 より徒歩1分
電話番号/FAX番号 042-701-1871 / 042-701-1813
営業時間 平日10:00-17:00
定休日 土曜・日曜・祝日
相模大野駅の看板

ページトップへ