遺留分侵害額請求の期限はいつ?時効の完成をストップするには?
相続の際、相続財産の帰趨を決定するには、各相続人の遺留分を侵害しないように相続内容を決定する必要があります。
しかしながら、遺言で相続人のうち1人に全ての財産を承継する等といった内容で、外田の相続人の遺留分の侵害をされているケースも多くあります。
今回は、遺留分が侵害されている場合の請求期限と、時効の完成をストップする方法について解説していきます。
遺留分侵害額請求とは
遺留分とは、被相続人の兄弟姉妹以外の法定相続人が遺産を相続する際に主張できる最低限の取り分のことをいいます。
遺留分が認められる相続人は、相続の結果、他の相続人が自己の遺留分を侵害している場合、遺留分を侵害した相続人に対して遺留分侵害額請求を行うことにより、遺留分に相当する遺産を金銭で取り戻すことができます。
なお、遺留分について定めている民法1042条は、法定相続人のうち、お亡くなりになった方の兄弟姉妹に関しては遺留分を認めていません。
従って、これらの方々は遺留分侵害額請求を行うことはできません。
遺留分侵害額請求権行使の期間制限
遺留分侵害額請求権には消滅時効と除斥期間と呼ばれる権利行使期間制限が存在します。
遺留分権利者は、相続の開始及び遺留分侵害があったことを知った時から1年が経過した場合には、消滅時効の完成によって遺留分侵害額請求を行使することができなくなります。
また、消滅時効はまだ完成していないという場合であっても、相続開始の時から10年が経過した場合、遺留分権利者は、除斥期間の定めによって遺留分侵害額請求をすることができなくなります。
除斥期間の場合、消滅時効と異なり、遺留分権利者が相続の開始や遺留分侵害について知らなかったとしても、10年の経過によって当然に遺留分侵害額請求権を行使することができなくなるため、注意が必要です。
遺留分侵害額請求を一度行った後も、2020年3月31日以前に行使した遺留分侵害額請求権の場合は請求時から10年、2020年4月1日以降に行使した遺留分侵害額請求権の場合は請求時から5年がそれぞれ経過した場合には、消滅時効により、遺留分侵害額請求をすることができなくなります。
遺留分侵害額請求の時効の完成をストップするには?
上述の通り、遺留分侵害額請求権の消滅時効が完成した場合、遺留分権利者は原則として遺留分侵害額請求を行うことができなくなります。
この時効の進行をストップするためには、時効の完成前に遺留分侵害額請求を相手方に行うことが必要です。
なお、遺留分権利者が相手方にいつ請求を行ったのかを明確化し、のちのトラブルを避けるため、請求を行う際には、配達証明付きの内容証明郵便を利用することをおすすめいたします。
また、一度請求を行っても再び消滅時効が完成してしまう可能性があるため、請求に対して相手方が何らの対応をしてこない場合には、再度の請求を配達証明付きの内容証明郵便によって行う必要があります。
なお、消滅時効の進行は、訴訟の提起によってもストップすることができます。
そのため、遺留分権利者からの請求のみでは、相手方の対応が見込まれないという場合には、訴訟提起を検討することも視野に入れてみてください。
相続に関するご相談は井上雅彦法律事務所におまかせください
今回は、遺留分侵害額請求の期限と時効の完成をストップする方法について解説していきました。
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