単純承認・相続放棄・限定承認の違い
単純承認・相続放棄・限定承認は、どの範囲において相続をするのか、しないのかが異なります。
■単純承認
単純承認とは、被相続人の権利義務について、何ら制限なく引き継ぐ方法のことをいいます。通常の相続の方法は、単純承認です。
引き継ぐ財産に制限がないため、例えば、被相続人が多くの負債を抱えていた場合、その返済を相続人がしなければならないことになります。
単純承認をするためには、特に手続きなどは必要ありません。被相続人が亡くなった後、特に何もしない場合、その相続人は単純承認をしたとみなされます。
■相続放棄
相続放棄とは、相続人であることを辞めることをいいます。相続放棄が認められると、その放棄を行った人が最初から相続人ではなかったとして扱われます。
相続放棄をするためには、自己のための相続開始を知った時から、原則として3ヶ月以内に、家庭裁判所での手続きが必要です(民法915条1項、924条・民法938条)。相続放棄は1人でも行うことができます。
相続放棄前に、遺産を処分する等した場合、相続放棄ができなくなる可能性があるため、注意が必要です(法定単純承認)。
■限定承認
限定承認とは、亡くなったが有していた財産を、不動産や現金、預金口座などのプラスの財産と、借金などのマイナスの財産に分け、プラスの財産を全て引き継ぎ、マイナスの財産はプラスの財産の範囲の中でのみ引き継ぐ相続の方法をいいます。
つまり、限定承認を行った場合、帳簿上は、相続によって損をすることを防ぐことができます。
限定承認をするためには、相続放棄と同じく、自己のための相続開始を知った時から、原則として3ヶ月以内に、家庭裁判所での手続きが必要です。また、限定承認は相続人全員で行わなければならないため、相続人同士の協力が不可欠です。
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