相続法改正で変わった点とは
国会によって、民法のうち相続分野について定められた部分が改正されました。この改正は、2019年1月から段階的に施行されています。
相続法改正によって変わった点を確認してみましょう。
①自筆証書遺言の方式緩和
相続法の改正によって、自筆証書遺言の方式が緩和されることになりました。
今回の改正によって、遺言の文章のうち、相続財産の全部または一部の目録を添付する場合、その目録は自書しなくてもよいことが認められました。
②遺産分割前の預貯金の払戻し制度の発足
改正前では、相続人が複数いる場合、被相続人(亡くなった方)の持っていた預金口座は不可分債権として、遺産分割が終わるまで相続人が引き出すことは、原則としてできませんでした。
相続法改正によって、遺産分割前から、預貯金口座から被相続人(亡くなった方)の現金を引き出すことが可能になります(改正民法909条の2)。
③法務局による自筆証書遺言の保管
今回の相続法改正によって、法務局における遺言書の保管等に関する法律が設けられました。
この法律は、自筆証書遺言(民法968条)を法務局が保管してくれるサービスについて定めた法律です。
遺言者は、遺言書が紛失や偽造、隠匿されるおそれなく遺言書を保管させることができます。
④特別の寄与
改正前では、生前の看護などによる寄与分を考慮できる者は相続人に限られていました。
今回の相続法改正では、相続人でない者についても、特別の寄与があった場合には、特別寄与料の支払いを相続人に対して請求することができるようになります。
⑤配偶者居住権
改正民法1028条で新しく、配偶者居住権という権利が創設されました。被相続人(亡くなった方)の配偶者が、被相続人が所有していた建物に移住していた場合、その居住していた建物全部について無償で住み続けることができる権利のことをいいます。
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