遺産相続の3つの方法とは
遺産相続とは、亡くなったひとの財産を家族などが引き継ぐ手続きです。
相続の方法にはいくつか種類があり、それぞれ手続きや意味が異なります。
今回は、相続の基本である3つの方法を解説します。
遺産相続の3つの方法とは
ひとが亡くなると、その財産は相続人に引き継がれます。
しかし相続にはいくつかの方法があり、すべて自動的に引き継がれるわけではありません。
具体的には、以下の3つの方法があります。
- 単純承認
- 限定承認
- 相続放棄
それぞれ確認していきましょう。
単純承認
単純承認とは、亡くなったひと(被相続人)の財産をそのまま全て引き継ぐ方法です。
現金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含めて相続します。
民法第921条によれば、以下のケースは単純承認に該当します。
- 相続財産を勝手に使ったとき
- 3か月以内に何もしなかったとき
- 限定承認や相続放棄の後に財産を隠したり使ったりしたとき
単純承認が適しているのは、財産より借金の方が少ないことが明らかであるケースです。
遺産が分けやすい場合や、相続人同士で争いが起きにくい場合にも向いています。
限定承認
限定承認(民法第922条)とは、相続によって得た財産の範囲内で、借金などの債務を返済する方法です。
相続で受け取った財産の範囲で借金を返せばよく、それ以上の借金は返す必要がありません。
財産も借金もあり、どちらが多いかわからない場合や、手放したくない不動産があるときに向いています。
限定承認をするには、相続人全員が家庭裁判所に申し立てをしなければなりません。
限定承認は、相続が始まったことを知った日から3か月以内に行う必要があります。
手続きが複雑なため、専門家に相談しつつ、必要書類を早めにそろえるのが重要です。
相続放棄
相続放棄(民法第938条)とは、遺産を一切受け取らない方法です。
プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も放棄します。
相続放棄が適しているのは、借金の方が多いことが明らかであるケースです。
他の相続人との関係を避けたい場合や、相続に一切関わりたくない場合も、相続放棄が向いています。
相続放棄をするには、限定承認と同様、相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所に申し立てをする必要があります。
単純承認・限定承認・相続放棄の違い
単純承認・限定承認・相続放棄の違いを、以下の表にまとめました。
項目 | 単純承認 | 限定承認 | 相続放棄 |
|---|---|---|---|
内容 | すべての財産と借金を引き継ぐ | 財産の範囲内で借金を返す(それ以上は返さなくてよい) | 一切の財産や借金を受け取らない |
借金が多いときのリスク | すべての借金も引き継ぐので大きな負担になる可能性がある | もらった財産の範囲内でしか借金を返さないので安心 | 借金もまったく引き継がないので安全 |
相続できる財産 | プラスの財産・マイナスの財産すべて | プラスの財産のみ(借金もあるが上限あり) | 何も相続しない |
手続き | 不要 | 必要(相続の限定承認の申述) | 必要(相続の放棄の申述) |
相続人全員の同意 | 不要 | 必要(相続人全員が同意すること) | 不要 |
期限 | 3か月以内に何もしないと自動的に単純承認になる | 3か月以内に手続きが必要 | 3か月以内に手続きが必要 |
なお、単純承認後に相続放棄をしたり、相続放棄そのものを取り消したりするのは原則として不可能です。
それぞれの方法を選ぶ際の注意点
相続の方法を選ぶには、それぞれの方法の特徴・注意点をよく理解するのが重要です。
軽い気持ちで選ぶと、後になって思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。
具体的なポイントは、以下の3つです。
- 3か月の期限を意識する
- 相続人全員の合意が必要な場合がある
- 専門家への相談を検討する
それぞれのポイントを解説します。
3か月の期限を意識する
相続が始まったとき、相続人は「単純承認」「限定承認」「相続放棄」のいずれかを選ぶ必要があります。
相続の方法は、相続開始を知った日から3か月以内に決めなければなりません。
この期間は「熟慮期間」と呼ばれ、どの方法を選ぶか慎重に考えるための猶予です。
3か月以内に何の手続きもしなかった場合は、自動的に「単純承認」をしたとみなされるため注意が必要です。
相続人全員の合意が必要な場合がある
前述のように、「限定承認」を選ぶ場合は、法定相続人全員の同意が必要です。
相続人のうち1人でも反対したり、手続きをしなかったりすると、限定承認ができません。
限定承認は、「財産の範囲内で借金を返す」という特殊な制度です。
その後の手続き(債権者への対応や財産の清算)も、相続人全員が協力して進める前提になっています。
そのため、全員の同意が必要です。
専門家への相談を検討する
相続内容が複雑な場合は、弁護士など専門家への相談も考えておきましょう。
特に限定承認や放棄の手続きは、裁判所を通す必要があり、書類の準備や証明書類の提出などが求められます。
早めに相談して、正確に手続きを進めるのが重要です。
まとめ
今回は、遺産相続の3つの方法(単純承認・限定承認・相続放棄)を解説しました。
それぞれの方法にメリット・デメリットがあり、状況に応じた選択が求められます。
借金の有無や財産の内容をしっかり調べ、相続人同士でよく話し合うのが大切です。
困ったときには、弁護士など法律の専門家に早めに相談してください。











