逸失利益とは?計算方法やポイントなどわかりやすく解説
交通事故等で死亡した場合や後遺症が残った場合、その後の収入がすべてなくなってしまうことや長い期間得られないことになります。
この得られるはずだった収入のことを逸失利益と呼びます。
そして、この逸失利益は請求することが可能です。
ここでは、逸失利益についてご紹介します。
■逸失利益の種類
逸失利益には、後遺障害逸失利益と死亡逸失利益の2種類が存在します。
・後遺障害逸失利益
後遺障害逸失利益とは、事故によって後遺障害が残ってしまい、労働が制限されてしまうような場合の逸失利益のことを指します。
・死亡逸失利益
死亡逸失利益とは、事故により死亡した場合の逸失利益のことを指します。
■計算方法
後遺障害逸失利益は、「1年あたりの基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数」、死亡逸失利益は「1年あたりの基礎収入」×「1−(生活費控除率)」×「労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数」
各項目について、ご説明します。
・1年あたりの基礎収入
ここでいう基礎収入とは、被害者の年収であり、事故前の収入額がベースとなります。
手当や賞与も含まれます。
就労していない子どもや学生、失業者の場合、賃金センサスによる男女別全年齢平均金銀金額を基準に決定されます。
・労働能力喪失率
労働能力喪失率とは、後遺障害が後の仕事にどの程度影響を及ぼすのかを示す値です。
この値は、第1級から第14級後遺障害の等級によって定められています。
具体的には、両目が失明した場合や言葉を発せない場合などに認定される第1級は100%、耳の聴力が落ち、1メートル以上の距離で小声を聞き取れない場合やてのひらの大きさの醜いあとが残った場合などに認定される第14級は5%と定められています。
・生活費控除率
生活費控除とは、被害者が死亡しなければ支出していた文の生活費を差し引くことです。
被害者が生きていた場合、生活費の支出が必要になるため、死亡逸失利益は収入から支出分を差し引いて算出されます。
・労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数
まず、労働能力喪失期間とは、症状固定日から67歳を迎えるまでの年数のことを指します。
ライプニッツ係数とは、中間利息のことを指します。
逸失利益は、原則一括で支払われるため、被害者は本来受け取れるはずの収入を前倒しで受け取ることになります。
本来であれば、収入発生まで時間を要することになりますが、前倒しで支払う逸失利益の性質上、この中間利息も含めて被害者は必要以上の金額を受け取ることになります。
そこで、ライプニッツ係数によってこの増額分を控除した正確な値を算出します。
■ポイント
次に、逸失利益を受け取るためのポイントをご紹介します。
・正当な後遺障害認定を受ける
後遺障害認定の等級によって、受け取れる額は大きく変わります。
そのため、正当な認定を受けることが重要です。
正当な認定を受けるために、認定申請方法の検討や事前準備を適切に行う必要があります。
・基礎収入額を正確に計算する
会社員の場合は、比較的容易に計算することが可能ですが、事業所得者や主婦の場合、計算方法が異なるため、注意が必要です。
・労働能力喪失期間の妥当性を確認する
労働能力喪失期間は先述した通り、基本的には「症状固定日から67歳を迎えるまでの年数」で算出されますが、後遺障害認定の等級によっては、決まった期間で考えられることになります。
その場合、年数が正しいかを十分に確認する必要があります。
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