家族信託の活用例
家族信託の仕組みのもとで、実際に活用されている例についてみていきます。
■遺言代用信託
まず、自分の死後、遺言では実現できない財産の引継ぎについて、これを実現するために家族信託を設定することが考えられます。
例えば、子どもがまだ未成年等で十分な財産管理能力が見込めないうちに自身が亡くなってしまう場合に、財産を1度に子どもに引き継ぐのが不安な場合等が考えられます。
この場合、親戚等を受託者として財産の管理を頼んでおき、実際に亡くなった際には親戚が財産の管理を行い、受益者となる子どもに少しずつ財産を与えてもらう等の形をとることができます。
■後見代用信託
自身が認知症等により判断能力が低下してしまう場合に備えて、家族信託を設定しておくことも考えられます。
判断能力を失ってしまうと、財産を売却したり、預金を下ろすことができなくなってしまいます。このような場合に備えて、自身を委託者および受益者として、子どもを受託者として家族信託を設定しておけば、生活費等を確保しながら財産の管理・利用ができるようになります。
似たような方法として成年後見制度が挙げられますが、成年後見は自身の判断能力が低下したことが家庭裁判所に認められないと財産管理の移転を開始できないところ、その点で家族信託は柔軟であるといえます。