【弁護士が解説】相続人の廃除とは?目的や要件など
相続は本来、相続は亡くなったひとの財産を法律で定められた相続人が承継することです。
しかし、すべての相続人が必ずしも被相続人と良好な関係を保てるわけではありません。
中には、相続人としての権利を認めることがふさわしくないケースも存在します。
今回は、相続人の廃除の目的や、実際に認められる要件を解説いたします。
相続人の廃除とは
相続人の廃除とは、法律上の相続権を持つひとを、被相続人(亡くなった方)の意思表示を前提として家庭裁判所の判断によって相続人から外す制度です。
通常、配偶者や子ども、父母などの直系尊属は、民法に基づいて遺留分を有する法定相続人となります。
しかし一定の重大な事由があり、「相続人としての資格が著しくふさわしくない」と判断される場合には、家庭裁判所の審判によって相続人の廃除が認められることがあります。
相続人の廃除の目的
相続人の廃除は、単に感情的な理由で相続権を奪うための制度ではありません。
被相続人に対して著しい非行や虐待行為などを行った推定相続人に、財産を引き継がせるのを防ぐことを目的としています。
相続人の廃除が認められる要件
相続人の廃除は、単なる感情的な対立や、不仲では認められません。
民法第892条に定められた、一定の重大な事情がある場合に限って認められます。
具体的な要件は以下のとおりです。
- 被相続人への虐待
- 被相続人への重大な侮辱
- その他の著しい非行
それぞれ確認していきましょう。
被相続人への虐待
身体的な暴力だけでなく、精神的な虐待も含まれます。
長期間にわたり暴力を振るったり、必要な介護や生活の支援を故意に怠ったりする行為が該当します。
被相続人への重大な侮辱
社会通念上、到底許されないような言動によって被相続人の名誉や尊厳を傷つける行為です。
たとえば、公衆の面前で人格を否定する発言を繰り返したケースなどが考えられます。
その他の著しい非行
家庭生活や社会生活において、相続人としての立場を著しく損なうような非行がある場合です。
多額の借金や犯罪行為によって家族に深刻な影響を及ぼした場合などが該当します。
まとめ
相続人の廃除は、家庭裁判所での手続きが必要です。
要件を満たすかどうかは、個別事情に応じて慎重に判断されます。
廃除を検討する場合や、逆に自分が廃除される立場に置かれた場合には、法律の専門家の助言が欠かせません。
お悩みの際は、弁護士に早めに相談するとよいでしょう。










