相続財産に借金があった際の相続放棄手続きをする方法
相続財産に借金があることが判明し、借金があるなら相続したくないという場合は法的手続きを行うことで相続権を放棄できます。
この記事では、相続財産に借金があった場合に行う相続放棄手続きの方法を解説します。
相続財産に借金があった場合に行える相続放棄の手続き
相続財産に借金が含まれていても、不動産などを処分して借金が返済できた上に少しでも相続財産が残れば、借金があっても相続するメリットはあります。
しかし、プラス財産よりも借金のようなマイナス財産の方が多い場合は、相続を拒否したいはずです。
相続財産に借金が含まれていた場合は、どのような手続きを行えば相続放棄できるのかみていきましょう。
相続財産調査をしっかりと行う
借金があるからと言って相続放棄をするには時期尚早です。
相続財産をしっかり調査すれば、思い掛けないプラス財産が見つかる可能性があります。
むしろ借金があってもプラス財産の方が多ければ、相続放棄をすることによって損をします。
財産は、現金や預貯金、不動産、株券以外にも価値のある骨董品、美術品、貴金属、記念硬貨、古文書なども含まれます。
まずは、被相続人の生前の趣味や収集歴なども考慮して細部に至るまで調査することが重要です。
相続放棄に必要な書類を用意する
相続放棄の手続きにおいて、相続放棄する申述人が誰であるかによって用意する書類が異なります。
すべての申述人(相続放棄する相続人)に共通する書類
申述人に共通して用意する書類は以下の5種類です。
- 相続放棄申述書
- 被相続人の住民票の除票または戸籍附票
- 申述書(相続放棄する相続人)の戸籍謄本
- 収入印紙
- 郵便切手
相続放棄申述書とは、被相続人と申述人の氏名や住所、生年月日、続柄、相続放棄の理由などを記載し、申述人の署名・押印がある書類です。
相続放棄申述書は家庭裁判所に行けばもらえますし、裁判所のホームページから書式をダウンロードすることも可能です。
戸籍謄本には発行手数料がかかり、全国一律で1通450円で管轄の市役所に行けば発行してもらえます。
また、管轄の市区町村によっては、コンビニ交付をすれば割引が適用されることがあります。
相続放棄の手続きでは収入印紙が必要です。
コンビニなどで購入し、相続放棄申述書の右上にある「貼り付け欄」に貼り付けて提出します。
郵便切手は、裁判所で相続放棄が認められた際に、「相続放棄申述受理通知書」を送付してもらうために用意します。
また、以下に該当する申述人はそれぞれ前述の5種類とは別に書類を用意します。
配偶者の場合
配偶者の場合は以下の書類が必要です。
- 被相続人の死亡が記載されている戸籍謄本
被相続人の子または代襲者の場合
被相続人の子または代襲者の場合は以下の書類が必要です。
- 被相続人の死亡が記載されている戸籍謄本
- 申述人が代襲相続人の場合は、被代襲者の死亡の記載のある戸籍謄本
被相続人の父母・祖父母の場合
被相続人の父母・祖父母の場合は以下の書類が必要です。
- 被相続人の出生時から死亡時までの記載がある戸籍謄本
- 被相続人の子(または代襲者)が死亡しているときは、その子(または代襲者)の出生時から死亡時までの記載がある戸籍謄本
- 被相続人の直系尊属の誰かが死亡している場合は、死亡している直系尊属の死亡の記載がある戸籍謄本
被相続人の兄弟姉妹および代襲者(甥姪)の場合
被相続人の兄弟姉妹および代襲者(甥姪)の場合は以下の書類が必要です。
- 被相続人の出生時から死亡時までの記載がある戸籍謄本
- 被相続人の子(または代襲者)が死亡しているときは、その子(または代襲者)の出生時から死亡時までの記載がある戸籍謄本
- 申述人が代襲相続人(甥姪)の場合は、被代襲者の死亡が記載されている戸籍謄本
相続放棄申述書に記入する
相続放棄の必要書類がそろったら、相続放棄申述書に必要事項を記載し、署名・押印します。
ただし、記載に不備があると受理されないこともあるので注意してください。
家庭裁判所に書類を提出する
相続放棄申述書に記載できたら、被相続人の死亡時に登録していた所在地を管轄している家庭裁判所に必要書類をそろえて提出します。
また、遠方などで家庭裁判所の窓口に提出できない場合は、郵送でも受け付けてもらえます。
家庭裁判所から送られてくる書類に回答して返送する
家庭裁判所に相続放棄の手続きを行った後、しばらくすると家庭裁判所から「照会書」が送られてくるので、照会書に必要事項を記入して家庭裁判所へ返送します。
家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が送られてくれば完了
照会書を返送して問題がなければ、10日ほどで家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が送られてきます。
相続放棄申述受理通知書が手元に届けば、相続放棄が認められた証です。
まとめ
今回は、相続財産に借金があった際の相続放棄手続きの方法について解説しました。
相続財産に含まれている借金の有無にかかわらず、相続放棄の手続きは同じです。
相続に関する問題に困ったときは、法律の専門家でもある弁護士に相談することをおすすめします。