相続手続の流れを分かりやすく解説!
身近な方が亡くなった時に発生するのが相続の問題です。
遺産相続に関しては、想像以上に手続期間が短く、しっかりと対応していかないと後々大きな問題にもなりかねません。
そこでこの記事では、遺産相続の基本的な流れを解説し、およそどのくらいまでに手続を済ませていくべきかという点も併せて解説していきます。
相続手続の基本的な流れ
遺産相続の手続に関しては、遺言書の有無や遺産の多寡によっていろいろなケースが考えられます。
もちろん個々のケースに確実に対応するためには、法律の専門家に協力を仰ぐのがベストでしょう。
ここでは、一般的に考えられる相続の流れに沿って、どのような手続が必要になるのかを解説していきたいと思います。
遺言書の有無と有効性を確認する
遺産相続において最初に行うべきは遺言書の有無を確認することです。
遺言書がある場合は、原則その遺言書に沿って遺産相続の手続を行う必要があります。
遺言書の有無と同時に確認すべきは、その遺言書の有効性です。
単に故人の方が書き遺した遺言書の場合、法的拘束力を持たない遺言書となるケースが少なくありません。
その場合は遺言書よりも、法に定める相続が有効になります。
故人の所有物や銀行の貸金庫、または公証役場などを調べ、遺言書の有無とその有効性を確認しておきましょう。
法定相続人を確定する
遺言書がない場合は、法に則り相続手続を行うことになります。
そのためにまずは遺産相続の権利を持つ法定相続人を確定させ、さらに相続順位についても明らかにしておく必要があります。
法の定めでは、故人の配偶者(妻もしくは夫)は必ず相続人となり、子(子がなくなっている場合は孫など)が第1位、そして両親が第2位、兄弟姉妹が第3位ということになります。
法定相続人のすべてが確定し、すべての相続人に連絡がつく状態にしないと、この先の手続には進めません。
仮に相続人の中に連絡がつかない方がいる場合、探す必要があります。
知り得る範囲で最後に住んでいた場所を特定し、その土地の役場で住民票や戸籍謄本をとるなどして現住所を探しましょう。
もちろん、親族であっても他人の住民票の取得を申請することはできません。
弁護士など特定の士業に依頼することで、取得が可能になりますので、専門家に相談して探すようにしましょう。
もしどうしても見つからない場合は、不在者財産管理人を選出するか、失踪宣告を受ける必要があります。
不在者財産管理人は、相続権を持たず、利害関係のない親族から選出するのが一般的ですが、適任者がいない場合は弁護士等専門家を選出することも可能です。
手続は家庭裁判所で行いましょう。
相続する財産の確定
相続人が確定し、すべての相続人と連絡が取れる状況になったら、次は相続財産の確定を行います。
故人が所有していた不動産や動産、株券や預貯金などをすべてハッキリとさせ、相続すべき財産を明らかにします。
相続すべき財産には借金も含まれますので、借金に関してもしっかりと調査しましょう。
相続すべき財産を確定した後、法定相続人は相続の方法をそれぞれ決定します。
通常通りに財産を相続する場合を単純承認と呼び、この場合手続は不要です。
財産の相続を放棄したいという方は、相続放棄を選択しましょう。
相続放棄は相続人個々が自身で決断でき、相続放棄をするためには、家庭裁判所に申し立てを行う必要があります。
相続放棄が認められるのは、自身の相続権があることを知ってから3ヵ月以内です。
また、相続放棄をした方は、以降相続人ではなくなりますので、分割協議などに参加する必要はありません。
もうひとつ、限定承認という相続方法もありますが、こちらは非常に限定的な方法ですので、基本的には相続するかしないか、つまり単純承認か相続放棄かを選択しましょう。
遺産分割協議を行う
相続すべき財産が確定したら、遺産の分割協議を行います。
簡単に言ってしまえば、誰が何をどのくらい相続するかを、すべての相続人が合意の上で決めていくということです。
すべての相続人が合意する必要があるため、前段階で相続人の確定が必要になります。
遺産相続に関しては、例えば故人の銀行口座を凍結解除するというだけでも、すべての相続人の了承が必要になります。
相続すべき財産が多い場合は、何度も必要書類の提出や署名捺印が必要となりますので、相続人全員と速やかに連絡が取れる状況を作っておくことが理想的です。
遺産分割協議の結果は、「遺産分割協議書」として書面にまとめておくのがおすすめです。
すべての相続人の署名と実印をもらい、分割協議で決定した内容を記しておくことで、後のトラブルの発生を防ぐこともできます。
相続財産の名義変更を行う
相続すべき財産の分割協議が滞りなく終われば、次に必要になるのが相続財産の名義変更です。
不動産の登記情報の変更などはもちろん、もし相続財産に自動車があれば、自動車の名義変更なども必要になります。
また、相続した遺産を現金化する場合もできるだけ早く手続をしておくことをおすすめします。
相続税を納付する
遺産の相続協議が終わり、名義変更などが終了したら、相続税の納付が必要です。
相続税の納付は、故人の死亡を知った翌日から数えて10ヶ月以内が期限です。
つまり故人が亡くなって1年以内にはすべての相続手続を終わらせ、さらに相続税の納付も終わらせる必要があるということになります。
相続税には、控除額の条件もありますので、相続した財産の総額などの条件により、相続税が0円というケースもあります。
相続税が0円の場合、納付は不要ですが、申告が必要な場合もありますので、注意してください。
まとめ
親しい方の死により、精神的に落ち込むこともあるかと思いますが、遺産相続にはある程度期限があり、その期限内に各種手続を済ませる必要があります。
遺産相続は、人生において何度も経験するものではありません。
不慣れな手続を決められた時間内に、しかも精神的に辛い状態で進めるというのは簡単ではありません。
そういった時に頼りになるのが法律の専門家です。
各種手続に関する知識や経験はもちろん、万が一親族間でのトラブルが発生した場合の対処など、さまざまな状況に対応できる弁護士に相談をしながら進めることをおすすめします。