遺言書の種類と効力
■遺言書の種類
遺言書は、一般に以下のような種類に分けることができます。
・自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、遺言者本人が自分で紙とペンなどを用いて作成するものをいいます。
いつでも自分だけで作成できるため負担は小さいといえますが、形式等に誤りが生じやすいため注意が必要です。
・公正証書遺言
公正証書遺言とは、遺言者が2人の証人とともに公証役場へ出向き、そこで遺言の内容を公証人に聞き取ってもらい、これに基づき作成してもらうものをいいます。
比較的手間はかかりますが、公証人が作成するため形式等に誤りが生じる恐れがなく、また作成した遺言書は公証役場で保管されるため、第三者による破棄・改ざん等の危険もありません。
・秘密証書遺言
秘密証書遺言とは、遺言者本人が自分で作成した遺言書を封筒などに封印して、これを公証役場に持っていき、その遺言の存在について公証人に保証してもらうものをいいます。
遺言書は遺言者が持ち帰って保管します。
遺言の内容を秘密にしておきたいときに用いられる手法です。
■遺言書の検認
自筆証書遺言と秘密証書遺言については、開封の際に家庭裁判所による検認が必要になる場合があります。
最近の民法改正により、自筆証書遺言を法務局で保管する制度が創設され、この制度を利用した場合、検認は不要となります。
遺言書を自宅で保管していた場合には、基本的に検認が必要となります。
■遺言書の効力
遺言書があった場合には、基本的にその内容通りに財産が承継され、法定相続分や遺産分割協議に影響されることはありません。
したがって、遺言書によれば、内縁の妻等、本来の法定相続人でない人に相続を行ったり、特定の人に多く財産を分けたりと、比較的被相続人の思い通りに財産を割り振れることになります。
しかし、一定の法定相続人には、最低限度の遺産の取り分として遺留分が定められているため、これを無視した遺言の内容を定めても、当該相続人は自身の遺留分について請求できます。